小説 鏡の前で(完結)
移転前のサイトで連載していた小説です。
無事に完結しています。まとめてどうぞ。
プロローグ 魔法の鏡
~200年前~
魔女「遂に出来た・・・。」
家来「凄いですね・・・。たった3時間で・・・。」
魔女「『魔法の鏡』・・・。私の望んだものだ。」
家来「さぁクエラ様、鏡を見てください・・・。」
クエラは、鏡をそっと覗き込んだ。
家来「おぉクエラ様、なんと美しい・・・。」
クエラ「そうだろう・・・。うっ?!」
鏡に移ったクエラの顔にひびが入った。
クエラ「い、痛い・・・。呪われているのか?!」
クエラは頬を手で触った。痛みが伝わる。
クエラ「ぐ・・・・ぁ・・・・。」
そういうとクエラはばたりと床に倒れこんだ。
クエラは一生、倒れこんだままだった。
呪いの鏡・・・。魔法の鏡・・・。 貴方はどちらを選ぶのか?
これはこの鏡を偶然見つけた少女の物語。
第一章 ドタバタの朝
?「・・・ライ・・・。」
何か声が聞こえる。聞いた覚えのある声だ。
?「・・・スライ!!」
スライ・・・私の名前だ。
スライ「ムニャ・・・後1分・・・。」
?「そんなことできる訳ないでしょ!学校よ!!」
学校?そっか、今日は学校だ。
スライ「って学校?!今何時?!」
鳥の形をしている目覚まし時計を見た。
時計は7時半を指していた。
スライ「うわぁ、遅刻だ!どうして起こさないの!」
?「何度も起こしたわよ!トースト焼いたから!」
ベットから飛び出すと階段を降りる。
いつもみたいにゆっくり降りられない。
というか、私は今まで1度も遅刻したことがない。
だから、余計あわてるのかな。
私はガラガラと居間の扉を開けた。
バタートーストが置いてあった。
私は急いでバタートーストを口に押し込んだ。
そして、学校へ走っていくのだった。
第二章 とにかく走れ!!
私の家から学校までは、走っても30分はかかる。
ピンチだ。ヤバイ。どうしよう。
スライ「そんなのどーでもいい!走るぞ!!」
私は全速力(といってもみんなより遅い)で走った。
いつもなら植物を見てるけどそんな暇ない。
とにかく走り続ける。とどまることを知らない。
けど、止まった。
信号が目の前で赤になった。
スライ「うっそぉ・・・。」
この時間帯で間に合うハズがない。
けれど幸い、ここの信号が変わるまでの時間は短い。
すぐに青になった。私は一生懸命走った。
今7時55分。残り5分。
けれど今から走っても最低10分はかかる。
そんなこと、今の私にはどうでもいい。
とにかく、学校目指して私は走った。
第三章 セーフorアウト
凄いスピードで走っていると、車が来た。
この車とナンバーは・・・お父さんだ!!
お父さん「スライ、もしかして遅刻か?」
スライ「うん!ちょっと乗せてって!!」
お父さん「ん?別にいいぞ。用事あるからな。」
私はお父さんの車に急いで乗った。
やっぱり車は早い。あっという間に着いた。
スライ「後1分!セーフだ!!」
お父さん「じゃ、頑張れよ。」
お父さんとは玄関で別れた。
とにかく、セーフだったからホッとした。
第四章 遅刻へのカウントダウン
スライ「59、58、57・・・。」
私は小さな声でカウントダウンしていた。
名付けて『遅刻へのカウントダウン』。
映画のタイトルと似てる?気にしない気にしない。
教室は最上階。結構かかりそうだ。
スライ「33、32、31・・・・。」
まだ2階だ。間に合うかどうか不安だ。
やっと三階に着いた。まだ走る。
スライ「19、18、17・・・・。」
だんだん遅刻へと近づいてくる。
ヤバイ。 私は一目散に走った。
スライ「10、9、8・・・。」
10秒だ。けれどもうすぐ教室だ。
スライ「7、6、5・・・。」 教室は目前だ。
スライ「4、3、2、1!」
『1』と同時に教室へ足を踏み入れた。
スライ「0ォ~!!!!!」
キーンコーンカーンコーン。
セーフだ。遅刻しなくて済んだ。
ホッとした後、私は自分の机へ駆け出した。
第五章 友達と先生
?「おはよ、スライ♪今日遅かったね。」
私に一番最初に語りかけてくれた子。
私の親友、エインだ。もちろん性別は女。
スライ「いや、初めての遅刻でさ・・・。」
エイン「そっか。あっ、先生来たよ!早く座ろう!」
ガラガラッ、という音と共に先生が入った。
先生はハイテンション。どうでもいいけど。
先生「おはようございます!」
全員「おはようございます!」
私とエインの席は隣同士。おしゃべりをする。
エイン「ねぇねぇ、先生派手だよね・・・。」
スライ「うん、いつもより特に・・・。」
今日はなんとドレス姿。しかもピンクだ。
スライ(先生失格にならないかな・・・。)
私はいつも、それを思っていた。
第六章 謎の転校生
先生「今日は転校生が来ています!!」
スライ(転校生?誰だろう・・・。)
正直、このクラスに転校生が来るのは初めてだ。
先生「しかも、日本からの留学生です!!」
エイン「スライ!!留学生だってさ!!」
スライ「おぉ!しかも日本だ♪」
実は日本、私たちの憧れの国。
先生「さぁ、入って!!」
入ってきたのは・・・静かな人だった。
先生「君、名前は?」
転校生「風雷 空見(ふうらい そらみ)です。」
先生「前はどこの学校にいたの?」
空見「日本の×○学校にいました。」
先生「さぁみんな、空見さんと仲良くしてね!」
生徒「は~い!!」
空見さんは、少し緊張していたようだった。
第七章 空見の情報
転校生も入り、私のクラスは少しにぎやかになった。
けれど、私は空見さんのことが気になって仕方ない。
空見さんは静かで、地味な服を着ていた。
私達の服装は目立つ黄色やオレンジが普通。
けれど空見さんは黒い服を着ていた。
今日思い切って、話してみようと思った。
~下校時刻~
先生「皆さん、気をつけて帰ってくださいね。」
生徒「はい、さようなら!!」
私はさようならというと、空見さんの席へ行った。
空見さんは教科書を片付け、帰る所だった。
スライ「空見さん、ちょっとお話していいですか?」
空見「ご挨拶ならしましたが、まだ何か・・・?」
スライ「空見さん、いつもこうですか?」
空見「ええ、そうですよ。」
スライ「そうですか、何だか元気なさそうで・・。」
空見「そうですか。あ、敬語じゃなくていいですよ。」
スライ「あ、そうですか。じゃ、明日から・・・。」
キーンコーンカーンコーン。
空見「帰りのチャイム鳴っちゃいましたから、私はこれで。」
スライ「あ、さようなら。」
私は、なんとなく落ち着けなかった。
第八章 謎の手鏡
私は空見さんと別れると、登校時の道を戻った。
何だか気持ちが落ち着かなく、早足で歩いた。
歩いて5分も経たないうちに、私は眩しい物に気づいた。
そこは草むらで、その奥で何か光っていた。
私は必死で草を掻き分けてみると、1つの手鏡が落ちていた。
紫色の、結構古い手鏡だった。
だけど、鏡には傷一つない。私は不思議に思った。
スライ(誰かの落し物だろうか・・・。)
私はそう思って、もっとよく分かるところに置いた。
スライ「誰かが落としたら、きっと気づくよね。」
私はそう言うと、そこを後にして家に帰った。
第九章 家での会話
スライ「ただいま~!!」
?「お帰り、今朝は間に合った?」
スライ「ギリギリね。それにしても焦った~;」
?「今日はどうして間に合ったの?」
スライ「お父さんの車に乗せてってもらったんだ。」
?「そうなの。お母さん今から夕飯作るから部屋で待っててね。」
スライ「うん。じゃあ宿題しておくね。」
お母さん「その方がいいわ。できたら呼ぶからね。」
スライ「うん。」
私はそういうと、宿題をやりに部屋へ駆け込んだ。
ランドセルからノートとドリル、筆箱を取り出した。
そして机に向かうと、机で宿題をした。
第十章 届いた小包
私が宿題をしていると、晩御飯の美味しそうな香りが漂ってきた。
スープに、ハンバーグに、パン・・・。
私の大好物ばっかりだ。
スライ(早く終わらせて、食べようっと♪)
そう思っていたときだった。
ピンポーン♪
突然インターホンがなった。
お母さん「は~い!」
スライ(何が届いたのかな?降りてみてみよう・・・。)
いたのは宅配便の配達員さんだった。小さな小包を持っている。
配達員「スライさんへの小包です。」
スライ(私宛・・・?別に何もプレゼント応募なんてしてないし・・・。)
お母さん「ありがとうございます。」
お母さんは小包を受け取ると、配達員さんはお辞儀をして帰っていった。
お母さん「スライ!お届け物よ!」
私は不思議で、仕方が無かった。
第十一章 小包の中身
私はお母さんから小包を受け取った。
お母さん「開けるのは、宿題終わってからね。」
お母さんはいつも言う。一応宿題は終わった。
私は部屋へ行き、小包を開けてみた。
空けた瞬間、私は気絶しそうになった。
あの鏡が入っていた。帰りの途中に見つけた手鏡。
でも良く見ると、この鏡はとっても綺麗だ。 ス
ライ「一応私宛に来たんだし、どうせなら使わないとね♪」
私は早速、鏡をのぞいてみた。
第十二章 鏡に映った顔
鏡をのぞいてみると、凄く不思議な感じがした。
顔が映ると移った場所が渦を巻いた。
渦を巻き、鏡に映った顔がどんどん変わっていく。
最終的に出たのは、おばあさんだった。
これは自分の未来を映し出す鏡みたいだ。
ふっと息を吹きかけると、また渦を巻く。
今度は長生きする年齢を教えてくれた。
私は100歳まで長生きするみたい。
ラッキー♪もっと楽しみたいし。
明日学校へ持って行こう。
そして他のみんなの未来を覗いてみよう。
だから楽しみだった。明日がとても。
第十三章 みんなの未来
私はご飯をぺろりと食べてしまうと、すぐに眠った。
明日、鏡を持っていくために。
そして、みんなの未来を覗いてみたい。
そんな気持ちでいっぱいだった。
~次の日~
ジリリリリリリリリ・・・・・!
大きな目覚まし時計の音で、私は目が覚めた。
すぐに階段を駆け下りると、朝ごはんをまたぺろりと食べた。
食べ終わってすぐに学校へ向かった。
ちゃんと鏡は持ってきていた。
スライ「おっはよ~!!」
エイン「おはよ~!!今日は結構早いね!!」
空見「おはよう・・・。」
スライ「・・・おはよう!」
空見さんの声は、なぜか元気がなさそうだった。
昨日来たから、まだ慣れてないのかな。私はそう思った。
スライ「今日はみんなに見せたいものがあるんだ。」
生徒「え?何?」
スライ「これだよ!ジャーン!!!」
私はランドセルから鏡を取り出した。
みんなは鏡を見て、目を丸くした。
エイン「スライ!それ鏡?!凄く綺麗じゃん!!」
スライ「小包で昨日届いたんだ。」
空見「・・・・・!!」
空見さんは鏡を見ると、走って教室を出てしまった。
スライ「・・・?」
私はこの鏡が未来を覗けるということを話した。
みんなは、順番に顔を覗いた。
最初は怖がっていたみんなも、面白そうだった。
最後は・・・空見さん。
一体、何があったんだろう・・・。
私は一瞬、そう思った。
第十四章 空見の怪我
私は学校中を探し回った。
先生から話を聞き、空見さんの情報を集めた。
そして、やっとで空見さんを見つけた。
空見さんは学校の屋上にいた。
スライ「空見さん!どうしたの?」
空見「・・・。」
私は空見さんの近くに駆け寄った。
そして、空見さんの顔を鏡に映した。
その瞬間だ。 鏡が割れ、空見さんのほほを傷つけた。
と同時に、空見さんが苦しみだした。
スライ「空見さん!!」
私は空見さんを保健室へ連れて行った。
スライ「空見さんを診てください。」
空見「・・・・。」
先生「分かりました。スライちゃんはそこにいてね。」
スライ「はい。」
空見さんはほほの傷をあまり気にはしなかった。
~5分後~
先生「もう大丈夫よ。」
空見「・・・ありがとうございます。」
先生「苦しみだしたのはよく分からないけど・・・。」
空見「あ、もういいんです。」
空見さんは少し笑顔を見せた。でも、私は心配だった。
空見「スライさん、後で屋上に来てください。」
スライ「あ、はい。」
私は胸騒ぎがしてならなかった。
最終章 空見の正体
私は、空見さんに言われた通りに屋上に来た。
スライ「どうしたんですか?空見さん。」
空見さんは、少し沈黙してからこう言った。
空見「さっきの鏡・・一体何処で?」
スライ「え?小包で届いたんですけど・・・。」
空見「そうなんですか・・・。実は、その鏡のことでお話が・・。」
スライ「え・・・?」
空見「その鏡・・・。私の先祖のものです。」
スライ「せ、先祖!?でも空見さん留学生でしょ?」
空見「聞いたことありませんか?魔女クエラを。」
スライ「あ・・・知ってます。魔法の鏡を覗き込んだら、鏡にひびが入り、鏡は呪いの鏡と化した・・・。」
空見「魔女クエラが、私の先祖です。」
スライ「え・・・?」
空見さんの言った言葉に、私は耳を疑った。
空見「あれは、クエラの家来が呪いの薬を入れた・・・。そのせいで、鏡は呪いの鏡と化したのです。」
スライ「・・・・。」
空見「クエラの血を受け継ぐものが鏡を覗くと、鏡の呪いで殺されたりするのです。」
スライ「殺される・・・?」
空見「幸い、私は鏡を覗いた時間が短かったので助かりました。しかし、あのまま覗いていたら、私は死んでいました。」
スライ「死ぬ・・・?」
空見「ええ。だから私は、鏡を避けたのです。」
スライ「そうだったんですか・・・。」
空見「・・・もうここにいる必要はいりませんね。」
スライ「・・・どういうことですか?」
空見「その鏡を割ってください。そうすれば、私はいなくなります。」
スライ「・・・何故ですか!?」
空見「このまま私の子孫に苦しみをやるわけには行きません。
鏡を割れば、私の存在は空気と化します。」
スライ「え・・・っ?」
空見「スライさん・・・私・・とっても楽しかったです。」
スライ「空見・・さん!!」
私の手から、鏡が滑り落ちた。
ガシャンと言う音と共に、鏡は粉々に砕け散った。
そして、それと同時に空見さんは消えた。
・・・・・それから、何時間経っただろうか。
?「・・・ライ・・・・。」
スライ「ん・・・むにゃ・・・。」
目を覚ますと、保健室のベッドで横になっていた。
先生「貴方が一人で屋上に倒れこんでいたから、先生、急いで寝かせたんですよ。」
スライ「あの・・・空見さんは?」
先生「空見さん?先生が行った時は、スライさんしかいませんでしたよ。」
スライ「そうですか・・・・。」
空見さんは、消えたんだ。私は思った。
先生「後、その傍に割れた鏡が落ちてたわよ。」
スライ「割れた鏡・・・?」
先生「破片に、貴方の名前が書いてあったのよ。一体何をしていたの?」
スライ「あ・・・何でもないんです。」
空見さんが消えたのは、本当なんだ。夢ではないんだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
その後、空見さんを見た人はいない。
後から聞いた話だが、空見さんの家族も行方不明だそうだ。
でも、空見さんを思っている心は忘れない。
空見さんは、きっとあっちの世界で笑っていることだろう。
エピローグ その後のスライ
あの事件から10年。私は大人になった。
でも、空見さんのことは忘れていない。
あの割れた鏡も、今も大事に持っている。
ときどき、割れた鏡の破片をつなぎ合わせる。
そうすると、空見さんが戻ってくるみたいだった。
でも、その鏡に顔を写したことは無い。
今日、写してみることにした。
鏡の破片をつなぎ合わせた。
そして、それに顔を写した。
鏡の奥で、ふわふわと花びらが散っている。
その先に、髪の黒い女の人が立っている。
空見さんだ。あの髪には見覚えがある。
空見「・・・・スライさんですか?」
頭に響いてくる。
空見さんの綺麗な声が。
空見「・・・10年前は、ごめんなさい。」
私は思わず、鏡に話しかけた。
スライ「いいんですよ。空見さん、元気ですか?」
空見「元気ですよ。貴方も元気そうですね。」
スライ「そこは何処なんですか?」
空見「鏡の世界です。鏡が割れて、それを再びつなぎ合わせる。
すると、その鏡の世界への入り口が出来るんです。」
スライ「そんなことも出来るんですか・・・。」
空見「・・あら、そろそろ行かなくちゃ。」
スライ「・・・何処にですか?」
空見「家です。今度、また鏡をつなぎ合わせてください。」
スライ「分かりました。またつなげてみます。」
空見「つなげれば、私の世界はまた覗けます。」
スライ「そうですか・・・。」
空見「それでは、お元気で。」
空見さんがそう言うと、鏡は再びバラバラになった。
空見さんに、また会いたい。会って、話したい。
そんな感情が、また芽生えて来た。
またつなげ、空見さんと話そう。
鏡の楽しみが、また増えた気がした。
鏡の前で ~完結~
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